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2007/01/11

『それでもボクはやってない』

ココログのコラボ企画”『それボク』的みんなで審判試写会”で、周防監督の『それでもボクはやってない』を見ました。

痴漢の冤罪事件の裁判の話。わかりやすく面白くとても考えさせられる映画でした。

(以下、一部ネタバレですので、映画の内容を知りたくない方は、読まないで下さいね。)

この企画は、映画を見て有罪か無罪かをトラックバックする、という趣旨のものだったので、私の判断は、もちろん『無罪』(「ボクはやってない」ですよ)。ただ、もし、裁判だけを見ていたのなら、きっと『有罪』にしてしまっただろうという怖さを感じました。

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痴漢に間違われ、駅事務所から警察、留置所から護送車の中、拘置所、そして裁判所と連れて行かれる主人公を通して、「どうしてこんなことに?」っていう思いがひしひしと伝わってきました。それから、例えば、留置所ってこんな所なんだ、こんなことをするんだなんてことを知ったり、何もしてないのにこんな人達につながれて護送車に乗せられるの?とか、一つ一つが「へえ~」の連続でした。

そして、裁判で、検察は都合のいい調書しか出してこない(全部出す必要はないなんて・・)、一貫して無実を主張する被告の言ったことが出てこないっていうことに対して、驚き、途中で裁判官が変わったことに驚き、またその裁判官の考え方一つで、証人や証拠の扱いが変わり、裁判そのものが有罪に傾いて行った事に、本当に驚きました。

この映画を見終わって私が最初に考えたこと、この世の中、自分や家族も何かの犯人にされてしまう危険がないとは限らない、ということ・・その時にどうしたらいいんだろう、ということ。(痴漢はないとしても、ね^_^;)

身を守るには、一貫して無実を主張し、あいまいなことに相槌を打たないことももちろんですが、言っていないことが書かれた調書には絶対サインしないことがひとつ。何度でも修正してもらっていいそうです。例えば映画では、被告は、慌てて電車に飛び乗ったと言っているのに、

「女子中学生が乗っていることを知りながら女子中学生の方に向いて乗車し、体を密着させた」

と調書(正確ではないかも・・でもこんな趣旨)には書かれていて、

「ハイここにサインして」

と言われ、深く考えずサインしてしまったという設定がありました。

確かに状況としては、慌てて乗ったので女子中学生に対して後ろに向くなんて配慮はできないし、駅員に押されたので、体を密着させることになってしまうし(満員電車では誰しもそうなってしまう)、わざとやったことではないのに、調書でそう書かれると、あたかも意図してそうしたようにとられ、実際裁判のマイナス材料になりました。

役所さん扮する弁護士から、「調書は警察官の作文ですから、間違いがあれば何度でも修正してもらい、違ったまま署名しないで下さい。」と言われるまで、署名しなくていいことを被告は知らなかったわけです。

実は私も一つ思い当たることが・・・

息子が交通事故にあった時、付き添って警察署で調書をとられました。反対車線のバスに乗ろうとして、渋滞している車の間を通ろうとしたために、中央を走ってきたバイクと接触し、幸い大事に至らなかったのですが・・・(もちろん息子も悪く現場でも謝罪していたようです)、書かれた内容は、

「私は数十メートル先に横断歩道があるのを知りながら、横断歩道でないところを、歩行者の信号が赤であるにも関わらず飛び出しました・・・」

というもので、「ここに署名、拇印を押してください」と言われ、言われるままに息子と2人で署名しました。事故当日、病院から警察署に行き、私も息子も正常な精神状態でなく、ただ無事だったことだけで全てに感謝したい気持ちで、警察にも「ご迷惑をおかけしました」という思いでしたし、早く帰りたいということもあってそうしたのですが、調書の文章に、何か違和感を感じていました。

後で落ち着いて考えた時、あの文章だと全て悪いことを承知しながら飛び出したようにとれるけれど、息子は単純にバスに乗ろうとして出てしまっただけで、そんな色々考えてれば出ないよね、と思いました。現場の事実がそうだとしたら、私なら「私は対向車線のバスに乗ろうとして、渋滞している車の間に飛び出してしまいました。その時に数十メートル先の横断歩道は赤であったようです。」と作文します。

もしこの調書が裁判の材料になったら、息子は有罪ですよね、故意なんですから・・・。怖い!。しかも調書は警察官の字で書いてあるので、余白に何か(例えば私が100%悪いです、なんて・・)書かれても、何も反論できないですよね。コピーをくれるわけじゃなし。なんでコピーくれないんでしょう?言えばもらえたのかな?なんて、今更疑問です。

ともかく、そのときは被害者だったのに、それでもあんな思いをするのですから、犯人と決め付けられて取り調べられたら・・と思うと、ぞっとします。

それから、裁判員制度のことも考えてしまいました。自分が裁判員に選ばれてこの裁判を裁いていたら、冒頭にも書きましたが、きっと『有罪』にしてしまったでしょう。この被告の言い分や思いを知らず、裁判とその資料だけを見ていたら・・・。改めて裁判員になって人を裁くことが怖いと思いました。

この映画は痴漢事件を扱っていますが、実際痴漢事件は99.9%有罪になるそうです。もちろんすぐ認める人や、本当に有罪の人も含めてだそうです。裁判で争うリスクの方が大きいのですから、やってなくても認めて示談の人もいるようです。冤罪が多いといっても、この映画でも実際の犯人はいるわけで、痴漢は絶対許されてはいけないのだから、勇気を持って犯人を捕まえようとした被害者の女性は悪くないのです。今後も警察は犯人には厳しく対応してほしいと思います。ただ、真実を見極めることへの労力をおしまないでほしいし、調書など今のやり方に問題がないともいえません。

この映画は、警察のやり方や裁判を考えるきっかけになると思います。関係者含めて、多くの方に見ていただいて、無実の人が有罪になることのない世の中になってほしいと思いました。

とまとめておきながら、映画の話に少し戻りますが・・・この映画は、どのくらい取材や下調べをして作られたのかしら、と思わせる映画でした。必要な要素を十分盛り込みながら、私のような何もしらない人間にもわかりやすく、登場人物もお母さん、友人、管理人、冤罪事件で戦う仲間など、そして、傍聴人にまでこだわりが感じられました。

そういえば、最後まで、主役の加瀬亮がウッチャンに見えたのは、私だけ?^_^;

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コメント

私位の年齢に成ると「人生」色々経験して来ましたし、生きてる限り嫌な事に遭遇するかもしれません。特に書類関係(うまく説明出来ませんが)良く読んで納得してからサインを・・・ブログ上では話せない事も沢山有ります。


投稿: 黒鯛 太郎 | 2007/01/14 01:20

 初めまして♪

 私も試写会を見て無実の犯罪者に
いつどういうふうにされやしないかと
いうことを考えました。

 加瀬さん、ウッチャンですか~。
私は見ていて途中から
陣内智則さんに似ているように見えて
しかたありませんでした。

どうですか?

投稿: ララ | 2007/01/14 01:20

>黒鯛さま
そうですか?やっぱり色々あるんですね~。
今度是非教えてくださいね。(^^)

>ララさま
コメントありがとうございます。
あの場にいらしたのですね。何だか親近感♪感じます。

陣内さん、うんうん、確かにそうも見えま~す(^_-)-☆

そういえば、会場ちょっとがっかりじゃなかったですか?(古く狭い・・初めて行ったので・・)
私なんて、もしや誰かの舞台挨拶が・・・、と期待していったのですが、何もなくて、それもクシュン。

でも映画は本当に面白かったので、行った甲斐はありましたけど、ね!

投稿: まゆクー | 2007/01/14 13:30

まゆクーさま
いろいろと考えさせられました。15年以上前のこと大船駅西口に時間帯によって乗用車が進入禁止になります。知らないで警察に捕まりました。老齢の父母を迎えに何時も行っていましたので、自分で標識を確かめてからと免許証をすぐに提示しなかったら、婦人警官に脅かされました。警察官は恐ろしいとその時思いました。でも今後も自分で確かめてから再確認してから、ことに当たりたいと思いました。お怪我が最小限で良かった!

投稿: ttomo | 2007/01/15 07:44

以前知り合いが泥棒を捕まえたのですが、警察に何回も出頭するように言われて怖かったそうです。学校も警察も信頼できないのは辛いですね[えーん]

投稿: MY | 2007/01/15 20:29

>ttomo様
そうなんですよね。警察っていうだけで緊張しそうですが、慎重に事にあたらねば、って感じですね。

>MY様
泥棒を捕まえたのに・・・・ですか?
ますます、怖くなってきますね。
いい警察官もいると信じたいですが、自分の身は自分で守るってことしかないのかな~。

投稿: まゆクー | 2007/01/16 01:04

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